壁面にもソーラーパネル、防眩性・意匠性を高めたモジュールをカネカ/NEDOが実証実験

2~3階建ての住宅において、ゼロエネルギー住宅の実現は5kWもあれば可能で、既に多くの太陽光発電搭載家庭がZEHを達成していることが予想されます。

対してビルの屋上は限られたスペースのため、階層の高い場合はビル全体をまかなうほどのソーラーパネルを載せられません。

ここで注目したいのが、ビルの壁面。太陽光発電は通常、日射を直角で受けるほど発電量が上がりますが、壁面はどうしても斜入射がメインとなり、発電量が伸びないのが難点でした。

今回カネカNEDOとの共同事業としてこうした壁面を活用しながらより多くの発電量を得るとともに、弊害とされる反射光を低減させるモジュールを開発。

実用化のための実証実験ののち、2017年には商品化を目指すということです。

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南相馬市の40MW蓄電池稼働開始、再エネ導入量50MW分の拡大に寄与するか?

再エネの導入量が増えるに従い問題になってきた出力制御問題

これを解消するのに有力な方法の一つとして蓄電池が注目されていますが、この効果を確かめる実証実験の中でも大型なものが、今回完成したということ。

40mw

「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」を採択して東北電力が南相馬変電所に導入されたのは出力40MW、容量40MWhというかなり大型のもの。上の写真は東北電力が発表したものですが、8500㎡にも及ぶ土地に敷き詰められた蓄電池システムは圧巻です。

このシステムを使って、太陽光発電などの出力が需要を上回る時間帯などに電力を蓄電し、高需要時間帯に放電する方法で出力の均衡化を図る実証実験を2016年度にかけて行っていくということ。

40MWhのこの蓄電池によって再エネ50MW分の導入拡大を見込んでいるそうです。

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東京電力が実証実験、HEMSで出力制御時に太陽光の電力を積極消費・自動蓄電

東京電力は経済産業省の「次世代双方向通信出力制御緊急実証事業」の一環として出力抑制に関する実証実験を始めたと発表。

この実験の目的としては設置容量の増えた太陽光発電の出力変動を吸収するためのもので、売電されている電力をHEMSを活用して家庭内での消費や蓄電に必要に応じて自動的に切り替えるというものです。

東京、関西、中部以外の地域では家庭用でも出力制御の対象となっているため、こうしたシステムの早期開発で太陽光発電の導入のハードルを下げることになります。近い将来新築戸建の購入などを考えている方にとってもとても気になる情報ですね。

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各電力会社の出力制限状況と事業者に求められる打開策

NTTファシリティーズがメーカー別発電実証実験など、大規模施設を北杜市に建設

NTTファシリティーズが全国でもトップクラスの日照時間を誇る北杜市にFソーラーリサーチパークを建設し、太陽光発電の実証プロジェクトに取り組んでいます。海外製も含んだ主要メーカーの太陽電池モジュールを4万平方メートルの敷地に設置し、実際に太陽光を受けて施工性・耐久性をはもちろん発電性能などを検証しています。すでに2011年から開始しているプロジェクトですが、設備と実証テーマを大幅に増やした第2期プロジェクトが2015年から開始予定で、太陽電池モジュールは第1期と合わせ7か国のメーカーで25種類に拡大します。さらに40度の傾斜地にも27種類の太陽電池を設置し、合計では52種類の太陽電池を使う実証研究になります。

新しく拡張した実証サイトでは最新の製品を加えた太陽電池のモジュール評価の継続はもちろん、3種類の素材を使用した架台検証、複数メーカーのモジュールを組み合わせる設計技術検証、蓄電池を併設し出力抑制に対応する「スマートビジネス検証」の4つのテーマに取り組みます。モジュール評価には単結晶・多結晶・アモルファスの3タイプがあるシリコン系や化合物系など10kW程度・25種類の製品を対象に、太陽光の入射角による影響や性能の劣化などの実測データが比較されます。また架台の検証ではスチールとアルミを組み合わせたハイブリッドのほか軽量で耐久性の高いFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、腐食に強く環境に優しい木製が採用され、施工のしやすさや設置コストも評価対象です。さらに設計技術面ではメーカーの異なるモジュールを直列に接続した際の発電性能の評価や影響が調べられます。スマートビジネス検証においては応答速度の速いリチウムイオン電池を採用し、翌日の発電量を予測して蓄電池を使った電力供給バランスの調整、予測誤差、出力全体を安定させる技術が検討される予定です。

同じく複数メーカーのパネルを同一条件化に設置してパフォーマンスを観察する実証実験を、ソフトバンクの子会社SBエナジーでも実施しており、当サイトでも同実証実験の結果を用いてメーカーの発電量比較を掲載しています。

余談ではありますが、NTTファシリティーズはSBエナジーに先駆けてこの実証実験を始めていますが、SBエナジーのようにデータを一般公開するのではなく、主に自社内の見地を高めることに用いられるようですね。企業色の違いの分かる一例でした。

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JAXAが宇宙太陽光発電システムの実証実験本格開始

米国をはじめとして研究開発が進んでいる「宇宙太陽光発電システム(SSPS:Space Solar Power System)」は次世代再生可能エネルギー技術ですが、日本でも小惑星探査機「はやぶさ」で注目を集めたJAXA(宇宙航空研究開発機構)でSSPSの中核技術が開発中です。宇宙空間という天候の影響を受けない太陽光発電ですが、地上での実証実験も始まっており2030年代にはMW級のSSPSを実用化することを目標としています。

静止軌道上の太陽光発電設備から無線で地上まで電力を送るため、発電された電力をマイクロ波に変換し、地上にビームを放射するという方法が有力で、JAXAでは巨大アンテナを静止軌道に設置し、多数の送電モジュールを配置する方式が考えられています。実用性検証のための地上試験モデルも開発され3月1日には屋外でのデモンストレーションが実施されます。

地上実験モデルの送電部と受電部の距離は55メートル、送電できる電力は最大1.8kWまで可能で、送電した電力をアマチュア無線家の無線機に供給して交信する予定です。
JAXAでは地上実験を継続して長距離でのマイクロ波の送信精度を上げるほか、電力とマイクロ波の交換効率を高たり機器の小型化や軽量化も進める計画があります。また移動体を使っての地上実験が次のテーマで、2020年代には小型衛星を打ち上げることにより宇宙空間での実証実験も開始される予定です。

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東北電力、西仙台変電所に20MWhの蓄電池設置で出力変動吸収を実証

東北電力は西仙台変電所に20,000kWhのリチウムイオン電池を採用した大型蓄電池システムの営業運転を開始しました。

本システムの稼働開始により、風力発電や太陽光発電のような気象変動で発電量が変動することによる周波数変動を解消することが可能になります。
これまでは、周波数変動の調整は火力発電施設に頼ってきましたが、今後は大型蓄電池システムと組み合わせることにより、周波数調整能力を向上させるのが狙いです。

一般社団法人新エネルギー導入促進協議会が公募した「平成24年度大型蓄電システム緊急実証事業」に採択されたこの事業ですが、電力系統に大規模蓄電池システムを導入する国内初の取り組みになります。

東北電力では、今回のシステムでの実証試験結果を検証して、更なる、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでいく予定です。

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JAXAと三菱電機、宇宙太陽光発電システムを無線送受電する技術を実証

2015年2月19日、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は宇宙システム開発理容推進機構、三菱電機と共同し、マイクロ波による宇宙太陽光発電システムの無線送受電技術の屋外実装試験を実施することがわかりました。この試験では「高精度ビーム方向制御技術」を用いて、宇宙太陽光発電システムにある巨大なアンテナの方向や位置を手動で変更する試みが行われるとのことです。

高精度ビーム方向制御技術は電子的なアンテナ補正技術で、JAXAが世界で初めて開発したものです。今回の試験では送電部と受信部をそれぞれ55M離れた場所に設置し、宇宙でのアンテナ変形を想定した5.8GHzのマイクロ波を送信することでアンテナの補正を行い、技術を実証するとしています。

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昭和シェル、アブダビの太陽光発電の実証実験で1.7倍の発電量を確認、中東進出の足掛かりとなるか?

昭和シェル株式会社は2015年1月14日、一般財団法人国際石油交流センターとアブダビ首長国国営の石油精製会社であるTakreer(タクリール)と行っていた共同事業への太陽光発電システム導入に関する実証化実験と調査が終了したことを発表しました。

この実験は製油所関連施設に太陽光発電システムが導入可能か、運転状況や砂塵対策などの内容についてを確認し、2011年から4年間にわたり検証がなされてきました。石油供給の安定確保と原産国との友好を深めたい日本側と、製油所での消費電力の一部を再生エネルギーによって賄うことによって原油輸出余力を増やしたいアブダビ首長国側の方針が一致ししたことによって実現した事業であり、両国の意向が反映されています。

供給されたのは昭和シェル石油の子会社であるソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽電池で、タクリールが操業している製油所関連施設屋上とアブダビ市内の製油所内建屋屋上に設置されました。合計で77kWになる両発電所は順調に稼働しており、発電量も日本と比べて1.7倍が得られているのだそう。

ちなみに中東地域に特有の問題である砂塵対策として2014年に防汚塗料と清掃用ロボットも導入したということ。
ソーラーフロンティアの高温耐性の高さに加えてこうしたメンテナンスがどれほど効果を示したのかは特に今回は公表されませんでした。

ちなみにアブダビと同じくアラブ首長国連邦の一国ドバイでは、ソーラーフロンティアの競合でもある化合物系ファーストソーラーが200MWという大規模な受注に成功しています。
昭和シェルの同実証実験が始まったのはファーストソーラーがドバイの第一期目の受注を受けた2012年よりも前のこと。
しかし、”実験”をしているうちになんだか先を越されているような感が否めません。

「同事業はアブダビ首長国との関係強化や日本との友好関係にも貢献するとして期待されています」
と締めくくられる
同発表ですが、実際の発電プロジェクトに関する気配が全く感じられないのは、単なる秘密主義によるものでしょうか。

経産省エネ庁、蓄電池の実証実験のために300億円の予算を計上

経済産業省の資源エネルギー庁によると、太陽光発電の系統連携保留問題の解決とさらなる再エネ設備の導入にむけて、今年度補正予算案に新たに300億円を盛り込み、大規模な蓄電池の設置による再エネ設備の出力安定に関する実証実験を行うということ。

北海道電力にはすでに住友電気工業と共同で6万kWhの容量のレドックスフロー電池が、また東北電力にも2万kWhのリチウムイオン電池が設置され、それぞれ実証実験を行うことになっているが、今回の補正予算によって早ければ2月中に新たに2地点程度で同様に大規模な蓄電池の導入を図るのだそう。
蓄電池はNAS(ナトリウム硫黄)電池やリチウムイオン蓄電池が検討されている。

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北海道で積雪地域の太陽光実証実験、雪の反射光で発電や融雪など

北海道は今月中旬より、稚内市所有のメガソーラー発電所で、発電した電気を融に利用する実証実験を始めます。道内外の企業3社が検証、費用負担をし、北海道は関連機関との調整、宣伝活動などでサポートします。

システムは、パネルの一部を両面発電式のものに置き換えることで、地面上のに反射した光を利用できるようにし、氷点下20度まで耐えられるという耐寒性の高い蓄電池を採用します。また、マット型装置を地面に埋めることで融雪を行います。

雪で反射した光で発電するかどうかは、とても気になるところですね。
両面発電タイプのパネルはパナソニックがHITダブルとして製造していますが、今回の実証実験でどのメーカーの製品が使われるかは公表されていません。

参考

スマートジャパンの記事では実証実験の内容が公表されていました。
両面発電のパネルはパナソニックのものではなく、EarthONというメーカーのものだということ。