ルーマニアは次の成長市場?

日本やインドなど明らかな成長市場を尻目に、ルーマニアが密かに注目を浴びているようです。
GTMリサーチでは今年初めに日本の太陽光市場の急速な成長を予想し、またラテンアメリカや中東、北アフリカの市場を含む市場予測を今年出す予定ですが、中でも特にこれからのルーマニア市場について”注意”していきたいとのこと。

ルーマニアはドイツと同レベルの日射量が得られるそうです。特に黒海に近い地域に多くの日射量が期待できるようです。

隣国のウクライナにはオーストリアの”アクティブソーラー”が、黒海に突き出たクリミア半島と黒海沿岸のオデッサに合計300MW弱のメガソーラーを建設していましたね。

このルーマニアで近年再生可能エネルギーが盛んに導入され始めたのはEUの排出量削減目標の達成のために導入された政策のためです。
例えば2009年時点で系統に連結された風力発電は15MW以下であったのに対し、同年4月に決定された法により20億米ドル近くが投入され、この3年で1GW以上が建設されています。

そして今年の4月に批准された再生可能エネルギー法の緊急規定により、太陽光発電の市場も炸裂するだろうという事です。

現時点で最大の太陽光発電所は国内のデベロッパーであるFomco Solar Systemsが建設した2MWの施設ですが(中国製のZNShineパネル)今年10月だけでも以下のプロジェクトが発表されています。

  • Hareon Solar Technology: 122MW
  • Aion Renewables: 80MW
  • CEED & ePD: 48MW
  • Samsung Group: 45MW
  • EDP (total of four): 38MW
  • Espero: 20MW

つまり、デベロッパーにしてみれば魅力的に見える市場でも、GTMリサーチからすれば、思いがけない(しかしすでに前例もあり、確実に落ちる事となりそうな)落とし穴があるという考えのようです。

ルーマニアの太陽光発電協会などによると、合計520MWのプロジェクトが系統への連系を承認され、さらに1200MWが承認待ちの状態だと言います。
GTMリサーチは、2011年までに5MW以下の導入量であった事実も踏まえ、現状維持の状態であれば、今年中に50MW、来年にさらに320MWの導入量であると予測しています。
GTMリサーチのアナリストAndrew Krulewitzによれば、
「チェコで起こったように、政府は経済的に無理な約束をして、それを撤回せざるを得ない事態にもなりかねない。」
とのこと。

ルーマニア政府がギガワットレベルの市場を維持できるとは思えないし、再生可能エネルギーの促進プログラムも約束の時期を満たずに撤回することになりそうとのことです。

カナダのオンタリオ州やスペイン、イタリア、チェコ共和国でも過去に、一時的な市場の急上昇のすぐ後に市場規模を縮小し、業界の崩壊や破綻を招いたことから、ルーマニアのような小国での市場の成長は注意しながら見る必要がある、という事ですね。

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