世界のソーラー事情の歴史?

日本のメガソーラー建設は今年7月の固定価格買取制度が始まってから、急速に注目を浴びるようになりました。
SBエナジーや三井不動産など、これまで社会貢献の意味合いが強かった太陽光発電の設置は、「事業」として成り立つ投資先として、大手の企業が競って建設を始めています。

日本に先立って海外ではすでにメガソーラー建設が盛んに行われていました。現在の日本は、エネルギー事業とは関係のない業種である会社の太陽光発電の建設が主に行われていますが、海外では「太陽光発電事業」がメインの企業が多く存在します。
日本では再生可能エネルギーの開発・運営で「ユーラスエナジー」が有名ですが、この会社はこれまで風力発電を主に行っており、世界で2GW以上の施設を運営しています。今年に入ってからは、比較的大きい規模の太陽光発電施設の国内への建設も進めています。

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Sky Solar(中国

中国を拠点とするスカイソーラーは、国内に限らずチェコ、ブルガリア、カナダ、ドイツ、スペインギリシャ、チリ、そして日本にもメガソーラーを建設しており、建設中も含めると250MW近くになります。(内訳については「世界のソーラープロジェクトマップ・一覧」参照)
さらにスカイソーラーは、中国の新疆ウイグル自治区での大プロジェクト(800MW)の第1段階となる60MWの施設の建設も行っています。

新疆ウイグル自治区(Xīnjiāng)では、スカイソーラー以外にも「JCS Solar」「大唐新疆発電」など、国有企業と民間企業の約10社との間で太陽光プロジェクトの交渉を進めてきたといいます。
その背景には、豊富な資源と土地、また平均的な日照時間が2500時間から3550時間と国内でも2位の日照に恵まれた土地で、スカイソーラーの大規模プロジェクトでは新疆ウイグル自治区内のゴビ砂漠の活用をしています。

スカイソーラーの代表Weili Suの言葉

我々の世界規模の事業の中でも中国は非常に重要な位置を占めています。
中国当局の政策と太陽光事業の方針を重んじ、国内により広域な太陽光発電の施設を展開していきたいと思います。

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PROINSO(スペイン)

スペインを拠点とするPROINSOは太陽光発電の販売会社です。
1KW程度の小規模なものからMWクラスまで全世界に展開しており、2004年から2011年までで累計1.1GWを販売しました。

PROINSOのプロジェクトを見ていると、ここ5年で太陽光発電はどのように普及していったのかが垣間見えます。
拠点のスペインから出発し、イタリア、ギリシャと、地中海地方の国を中心に事業を拡大しているところを見ると、やはり地中海周辺の気候は太陽光発電に向いているのでしょう。

拠点のスペインは2004年から徐々に増え始め、2008年を境にまたプロジェクト数は下降するという緩やかなブームであったようです。
数キロワット規模からメガソーラーまでまんべんなく建設されています。

ギリシャにはPROINSOは2009年ころから進出しています。2012年までコンスタントに中規模施設が建設されていますが、100KW程度のものが多く、大規模なメガソーラ―を建設する環境は整っていないようです。

イタリアで本格的に建設が始まったのは2009年。拠点のスペインを凌ぐプロジェクトが建設されました。2010年には前年以上の施工が行われ特に220KWから235kWの間の施設が多数建設されています。(補助金の関係で一番おトクになりやすいシステム容量だったと予想します)
その後2011年には一気に建設数が減り、逆に1MWを超えるメガソーラーの建設が目立っています。
2012年にはPROINSOはイタリアから手を引いているようです。

かつてソーラー大国と言われたドイツでも、2009年、2010年にいくつか関わっています。

ちょうど今年、累計の太陽光発電の系統連系数がイタリアがドイツを抜きましたが、PROINSOのプロジェクト履歴を見ても、この逆転は2009年から2010年のイタリアでのブームの影響を直に受けているとわかりますね!

昨年の日本の地震の影響で太陽光発電を考える住宅が増え、今年の7月からメガソーラーの建設が本格的になってきたことを見ると、1,2年後には日本がイタリアの位置にいることになるのでしょうか。

PROINSOはアメリカでも東西海岸を中心に2009年から進出しており、今年に入ってからはアメリカ大陸を南下してチリなどにも建設をしています。
スペイン語圏という事でか、PROINSO以外にもスペインの大手太陽光業者の南アメリカ進出が今年は目立っています。

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日本の企業の海外進出も進んでいますが、さらに世界の各地で太陽光発電の重要性が増してきそうですね!

参考