エコライブ・音楽を太陽電池で

太陽光で音楽ライブを

福島原発の事故後、ミュージシャンなどがデモで原発反対を訴える場面などをよく見かけるようになりました。アンプや照明などで大量の電力を使う音楽ライブですが、その電源を太陽光でまかなえないかと考えたのが、コンサートの舞台演出で世界的にも認められているネクストワンクリエイトです。

NANO-MUGEN FES.2012

「太陽光でライブをやったらどうか」という考えをコンサート演出のネクストワンクリエイトの社長、市川訓由が考えたのは2009年。しかし技術的な問題から、一度は断念したというこの計画でしたが、2011年3月11日の震災後の原発事故の後、再度この計画が持ち上がり、2012年2月、震災後延期になったアジアンカンフージェネレーションのツアーでは実験的に取り入れられました。

今年7月に行われた「NANO-MUGEN FES.2012」ではより本格的なシステムの利用が計画されました。その方法は、会場にパネルを設置することは難しかったため、会場に近い空き地にパネルを並べ、バッテリーに蓄電したものを運ぶという方法がとられました。11tトラックにいっぱいのバッテリーで、10時間のフェスで必要な電力の約2割を太陽光で作った電力でまかなわれました。

アワード受賞

アメリカ最大のエンターテインメント空間演出のための製品、技術、ソフトを展示するコンベンション「Lighting Dimensions International 2011」で、このエコライブシステムはプロダクト部門での賞を取りました。日本人として、原発事故後に考えたことを世界にアピールする目的であったと言い、受賞は思いがけてもいなかったという事ですが、世界の後押しにモチベーションも高まったとのことです。コストの面で改善すべき問題はまだ多いようですが、今このタイミングで、コストを多少犠牲にしても率先して取り入れることが、業界全体の意識の底上げにも重要であると考えています。

THE SOLAR BUDOKAN

2012年12月20日に日本武道館で行われるイベント「THE SOLAR BUDOKAN」は、太陽光から生まれた電気でライブをするというギタリストの佐藤タイジの構想を実現させるイベントになります。電源供給の具体的な方法については公開されていませんが、太陽光電源だけで、武道館のような大きな会場の電源をまかなえるという前例が与える影響は大きくなると予想できます。