北九州スマートコミュニティ創造事業で、電力需給の均衡化に関する実証実験2種の結果発表

北九州スマートコミュニティ創造事業の一環で行われたJX日鉱日石エネルギー岩谷産業による事業についての記事をまとめてご案内します。

JX日鉱日石エネルギーによるEVのエコドライブ支援とダイナミックプライシング

JX日鉱日石エネルギーは、2012年末から福岡県の北九州市で進めるCEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)と連携したダイナミックプライシング等を実証する試みの結果について発表しました。

この事業は「Dr.Driveセルフ八幡東田店」に設置されるEVの急速充電器を中心として展開されるもの。

同地区に在勤在住の三菱「i-MiEV」オーナーをモニターとして行われた同実験、内容の一つとしては、充電の際にエコドライブ支援として電費のお知らせサービスが提供されたのだとか。
その結果

2012年11月の平均電費が8.46km/kWhだったのに対して、3カ月後の2013年2月には同8.65km/kWhと2.2%向上

したのだそう。

さらにエコドライブの方法を月刊メールでアドバイスするサービスを行ったそうで、4カ月(計4回)の具体的なアドバイスによる指導によって平均電費は約10%も向上したのだとか。
(こう考えると情報を知っているというのは強いですね!)

エコドライブに加えて事業の目玉となったのが、「ダイナミックプライシング」の検証です。

EVの充電時間が出勤(8~9時)と帰宅(17~19時)の時間にピークになることをふまえ、時間別に充電単価を変動させたところ、ピークシフトおよび25%のピークカットに成功したということ。


岩谷産業による水素インフラ活用による余剰電力活用

同事業で岩谷産業が取組むのは、再生可能エネルギーの余剰電力を使用して水素を発生し、燃料電池で利用する実験です。

春秋の休日などは再生可能エネルギーの出力供給と需要のバランスが供給に傾くことから、これを有効利用しようとする試みで、再生可能エネルギーだけでなく時間帯料金などを利用して系統電力も用いながら、水素による出力の均衡化を目指すものです。

実証では岩谷産業は、水素の生成や燃料電池の稼働を自動で切り替える制御ソフトを開発し、

システムのイニシャルコストが下がれば、ダイナミックプライシングが採用されている場合、コストメリットをもたらす可能性も見えてきた

のだそうで、今後はコスト削減に加えての取組段階に移っていくようです。

コンビニで整備が進むエコカーインフラ、集客アップに期待

コンビニエンスストアー各社は、環境対応車のエネルギー源を補給するためのインフラ整備を進めています。

ファミリーマートEV/PHV

ファミリーマートは、プラグインハイブリッド車やEV向けの急速充電器を650台設置し、充電中の20分程度の時間に買い物をしてもらうことにより集客量の向上を狙っています。
充電器の設置に合わせて、日産自動車のリーフを1台抽選プレゼントキャンペーンを開始し、認知度を高めようとしています。充電する人のために、軽食やカー用品などの品ぞろえも充実させる方針です。

セブンイレブンFCV

セブンイレブン岩谷産業と協力し燃料電池車用の水素ステーションを東京都と愛知県にオープンしました。今後10~20店舗まで拡大予定です。ローソンも現行の12台の充電設備を200台まで増加させる計画があり、コンビニエンスストアーは燃料補給ステーションの併設による集客力の向上を期待しています。

参考

豊田通商ら、移動式の水素ステーション運営開始

トヨタ系の商社「豊田通商」、産業ガスの大手メーカー「岩対産業」それに「太陽日酸」の3社が共同出資により新会社を立ち上げ、移動式水素ステーションの運営をスタートします。
水素ステーションは次世代のエコカーの中心として注目を集めている燃料電池車の燃料である水素を供給する施設です。走行しても水しか排出しない燃料電池車に対する期待が高まる一方で、水素ステーションは全国に7か所と少ないのを受けて今回の新会社設立と水素ステーション運営の運びとなりました。

来月より運営を開始する移動式水素ステーションでは、トレーラーに設備を搭載しているため道の狭い都市部にも対応が可能ですし、ステーション設置のコストも通常5億円のおよそ半分となります。
水素ステーションの設置に関連しては、トヨタ・日産自動車・ホンダの3大自動車メーカーが共同で費用負担して運営することに合意するなど普及に向けた取り組みが急ピッチで進んでいます。

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東京ガス、練馬に都内初の水素ステーション開設

東京ガスは12月18日、東京都内に「練馬水素ステーション」を開設しました。これはトヨタ自動車の燃料自動車「MIRAI」の発売開始から3日後のことで、関東では初の商用水素ステーションとなります。

現在の水素ステーションにおける標準的な水素供給能力は1時間当たり300平方メートルで、燃料自動車1台あたり3分ほどで充填でき、1時間では5、6台可能となっています。今後は水素を製造するオンサイト方式の設備運営と水素の外部供給を受けるオフサイト方式を連携させて、効率化を進めていきます。

さらには水素製造過程で発生するCO2の分離・回収する装置も併設し、回収したものは液化して千葉県の植物工場でトマト栽培に利用しています。

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