スイスの歴史的建造物がスマートハウスに総リフォーム、エネルギー消費量は4分の1に

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スイスにあるネオバロックの歴史的建造物が、太陽光発電の設置などで全面的にスマートハウス化されました。

スイス政府はエネルギー戦略2050という政策を打ち出しており、2050年までに再生可能エネルギーの拡大と消費電力削減を目標に掲げているからです。歴史的建造物の外観を損ねることなく、エネルギー効率をアップさせようとするのは至難の業で、国民からも反対の声がありましたが、福島第一原発の事故によって脱原発の機運が高まり、再生可能エネルギーへの転換を余儀なくされることになりました。

環境に優しいセルロース素材を使い、地下室から屋根裏まで骨組みを断熱化させることに成功しました。隙間はリサイクル可能なポリエチレンを埋め込み、クリプトンガス入りの二重構造の窓にすることで、100年以上続いている外観と風合いを維持させることに成功したのです。

地下150mまで掘り下げ、地中熱調査も行い、給湯と温水暖房用の太陽熱貯蔵ポンプと地中熱ヒートポンプを設置しました。

屋根には太陽光発電装置と太陽熱温水器を設置し、直射日光が当たらなくても、外気温10度という条件でも熱エネルギーを吸収することが可能になっています。

現在のエネルギー消費量は従来の4分の1にまで削減され、電力と熱エネルギーの予備を十分に保有することが可能になっています。二酸化炭素排出やエネルギー生産時の環境に対する負荷を真剣に考えれば、建築資材と建築工法を見直し、再生可能エネルギーにシフトしていくことは当然の流れといえます。文化遺産保護局も考え方に変化がみられており、太陽光発電の取り付けに対して理解をしめし始めています。歴史的建造物を省エネハウスに全面改修するのは時間もコストもかかるうえ、デザインにも影響がないように配慮しなければならず難しいことなのですが、成功例が少しずつ増えていくことが期待されます。

参考