NTTドコモ、太陽光と蓄電池制御の「ダブルパワー制御グリーン基地局」

環境負荷の少ない電力で基地局の運用に必要な電力の95%以上をまかなうことが可能になる「ダブルパワー制御」の実証実験に成功したことをNTTドコモが発表しました。

「環境負荷の少ない電力」って?

NTTドコモの発表に「環境負荷の少ない電力」という表現がありましたが、これは再エネ発電を示すものではないところに注意が必要です。

同実証実験では昼間の太陽光発電の余剰電力と夜間電力を蓄電地に貯め、環境負荷の高い電力を使用する夕方から夜間電力が開始される23時までの時間帯に蓄電池の電力を優先的に使用するという技術です。

太陽光発電の自活率は30%と、従来のグリーン基地局と変わりません。ここに蓄電池を加えることで、太陽光発電の余剰を吸収しながら夜間に需要が減る時間帯の電力消費を増やしています。つまり、ピークカットです。

NTTドコモでは基地局の環境負荷を低減させることができるこの技術の早期商用化をめざして10局あるグリーン基地局のうち3局でこの技術を導入し、品質に関する検証や地域別の特性評価を実施する予定です。

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日立、コンテナ型蓄電システム「CrystEna」を使ってアメリカのスマートグリッド実証プロジェクト参加

日立アメリカ日立製作所の地域統括会社)は、自社のコンパクトな1MW(1000kW)コンテナ型蓄電システム「CrystEna(クリスティーナ)」を使ったリチウムイオン蓄電システムの設置と試運転を終えて、米スマートグリッド技術会社であるディマンシスとニュージャージ州で本格的な実証プロジェクトを開始します。

北米で初めての導入例となるクリスティーナは、リチウムイオンバッテリー、パワーコンディショナー(電流変換器)やバッテリー管理システム、冷却装置、火災消化システムの全てが運送コンテナの中に収められています。

蓄電システムを電力系統に入れて運用、制御すると太陽光発電などの大量導入による出力変動や電力の供給量が需要量を上回ることで生じる系統の不安定化が回避でき、電力需要が少ない時間帯に余剰電力を充電して電力需要の大きい時間帯に放電することで、系統から供給する電力を平準化でき、送配電設備増強の投資を抑えられることが出来ます。

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LS産電、日本のスマートグリッド市場に進出

次世代送電網事業、いわゆるスマートグリッド分野の太陽光市場攻略に韓国LS産電が参入してきました。

同社は2015年2月25日から27日まで東京ビッグサイトで開催された国際スマートグリッドEXPOに参加して12のブースを設置し、太陽光ソリューションをはじめとする14のアプリケーションゾーンを設け、再生可能エネルギーに関して全過程で適用されるグリーンビジネスソリューションのフルラインアップが披露しました。

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NEDO、インドでのスマートグリッド関連技術の実証実験事前調査を開始

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はインド・ハリヤナ州においてスマートグリッド関連技術の実証に向けた事前調査とキャパシティ・ビルディング(途上国等の能力構築)事業を開始します。

インドでは人口増加に伴い電力不足や盗電など、配電関連の問題が生じています。スマートグリッド関連技術の実証に向けた調査では、ハリヤナ州パニパット市内の一部の顧客の家に設置したスマートメーターを解析することで、配電系統監視や配電ロス低減技術を検証します。

また、キャパシティビルディング事業の主な目標は、日本の配電システムの運用ノウハウ等を提供し、日本のスマートグリッド関連技術がインドの配電会社の抱える課題すなわち技術的・商業的ロスの削減、柱状変圧器故障率の低減、停電の改善に貢献できることを示すことです。

NEDOは本事業の委託先として、富士電機株式会社、住友電気工業株式会社、THEパワーグリッドソリューション株式会社を予定しているということ。

相互に関連するこれら2つの事業はインドにおける次世代配電網のスマート化に貢献するとともに、日本企業のインドでの事業展開の足掛かりとなるとしています。

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中部大学×清水建設が、キャンパスのスマート化をさらに拡大

震災後から始まった中部大学のスマート化

清水建設による中央大学春日井キャンパスのスマート化に関する共同実証実験は2012年6月から続けられています。
前年3月の震災後、電力不足が続いた時期と、学部・学科新設による電力需要の増加が重なったことも、共同実験の発端となったようです。

分散型電源を活用した電力ピークカットと、電力需給逼迫時のデマンドレスポンス制御(自動)、さらに自動制御の範囲外の設備において、メールで節電行動喚起を行う、といった方法で行われた、エネルギーマネージメント。
昨年1月に出されている発表内容からは詳細がご確認いただけます。

キャンパス内の10棟の施設でスマート化が行われた同実験はピークカット25%、電力使用量15%を達成し、
この結果を踏まえてより広域で多棟にわたるエネルギー効率化を図ることを決定。

主要40施設まで範囲を広げ、2016年度中にも全学部のキャンパスのスマート化が達成する見込みです。

目標は契約電力総量を20%(1110kW)、CO2排出量でいうと25%(3,368t/年・電力量換算で6GWh)削減を掲げています。

官民学一体となった事業

計11ものスマートグリッドによって構築される同システムには太陽光発電230kw、コージェネ設備85kw、蓄電池234kwhが連系され、これらの電力需給を制御するのが、清水建設によって開発されたスマートBEMSです。

約10億円にのぼる総工費は環境省からの補助金も利用し、節電・省エネによる経済効果で8~10年の初期投資回収を見込んでいるということ。

スマートシステムの構築は清水建設が担うことになりますが、中部大学は電力消費のスマート化に加えて、「循環型キャンパス構想」による廃棄物の再利用や、学校備品の有効活用(専用サイトを通して教職員が利用できる)など、エコ循環型キャンパスの再現を多角的に模索しています

スマートグリッドによる消費電力の削減も、自動の電力需給制御だけでは完結しない点に注目したいです。
大学の構成員によるこまめな節電努力(ひっ迫時のメールを配信)が加わることで、より高い目標が実を結ぶのかもしれませんね。

さらに今後は、キャンパスの枠を超えて春日井市の地域全体のスマート(低炭素)化を進めるためにグリーンプラン・パートナーシップ事業として自治体と連携事業に取り組んでいくそうです。

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