東芝、東京都府中市に水素エネルギー開発センター開所、

再生可能エネルギーから水素を作り電力利用するシステムを実用化する目的で、東芝は府中市の事業所内に「水素エネルギー開発センター」を作ったと発表しました。太陽光発電システムや水電解装置、燃料電池等を導入した施設で建築面積は900平米の規模の施設です。

太陽光発電などの電力を利用して、効率よく水と電池で水素を発生させて貯蔵する「固定酸化物形電解装置」を採用されています。

東芝グループは、今後2020年度に水素関連事業で1000億円の売上高にすることを目指していて、この施設はその実現のための一環として作られました。

2015年度以降は遠隔の諸島などでの地産地消型のエネルギー供給システムとして実用化をめざし、さらに2025年前後に大規模風力発電で作った安価な水素の国内供給と水素タービン発電の水素サプライチェーンを構築し、クリーンな電力の安定貯蔵と供給を目指しています。

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下水のバイオガスから水素生成、次世代のクリーンエネルギー

燃料油などの化石エネルギーに変わる新たなクリーンエネルギーとして水素が注目を集めています。素材となるのは下水汚泥で、国内でも燃料電池車(FCV)などに供給する取り組みが行われています。

一例としては福岡市の下水処理場での取り組みで、下水バイオガスから水素を製造し燃料電池自動車(FCV)に充填するまでの技術実証を行う施設が2014年に国費約13億円をかけて建設されました。

浄化槽から下水バイオマスを得て、膜分離装置で濃度上げたメタンを材料に水素を製造するシステムで、下水バイオガスを原料とする水素を燃料自動車へ供給する世界初の取り組みの一環です。

水処理企業のメタウォーターでは国内5カ所の下水処理場に燃料電池を置き、バイオガスを改質した水素を使って1500kWの電力を作っています。2015年までに8カ所に増設し、発電電力を2700kWに高め、燃料電池による発電能力を8割増やす方針です。

また東北大学大学院では、太陽光を利用して下水汚泥に含まれる硫化水素から直接水素を発生させる研究を行っています。バイオガスを作る必要がなく製造過程で有害物質である硫化水素を分解、無毒化する画期的な製造法です。

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スコットランドで再エネ発電から水素を貯蔵生成する実証実験、東芝がEMS提供

東芝は、他の7つの団体と共同での海外初の水素実証試験への参加を発表しました。風力と太陽光だけで水素を製造し、燃料電池車に供給する他、燃料電池に送り電力を得るというもので、スコットランドのファイフ州メチルで行います。

スコットランドは、電力源に占める再生可能エネルギーの比率を高める政策を打ち出しており、洋上風力などで2020年には100%を目指しています。メチル港には、風車(出力750kW)と、電力を利用して水から水素を生成する水電解装置(出力30kW)があります。これらは、水素関連施設を運用するBright Green Hydrogen社が設置しました。近くには、ファイフ州が470万ポンドを投じ、Fife Renewables Innovation Centreを完成させ、同センターへの電力は、系統電力と風車による電力と水素燃料電池の電力とを切り替えて送り、暖房用温水は、燃料電池以外の電力で地中熱ヒートポンプを駆動して供給します。

実証試験期間は2015年4月~2020年3月までで、2016年度内に新たな設備を導入し、残り4年間で運用データを集めます。導入する設備は太陽光発電システム(出力200kW)、2種類の水電解装置(60kWと250kW)、水素貯蔵タンク、燃料電池(出力100~150kW)、25台のハイブリッド車です。

試験では、風力発電と太陽光発電で電力を供給し、水を分解して得た水素をタンクに蓄え、その水素を水素燃料電池とハイブリッド車の燃料として供給します。また、燃料電池を通じて電力を得て、メチルのビジネスパークに供給します。

東芝は、「水素EMS(エネルギーマネジメントシステム)」の提供とシステム全体の制御を担います。これは電力の需給予測に基づき、水素の製造、貯蔵、利用を最適制御する仕組みです。
東芝では他にも複数の場所で水素EMSを運用し、異なった運用データを得る予定です。

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大阪府中央卸売市場に分散型電源の1.2MWの燃料電池導入

大阪中央卸売市場は、昨年11月よりBloom Energy Japan株式会社との間で燃料電池の導入に関する基本合意を締結して進めていた燃料電池の設置が完了し、運転開始式が3月9日に大阪中央卸売市場にて行われました。

この燃料電池は燃料として都市ガスを用いますが、燃焼ではなく化学反応で発電するため環境に優しく、また発電効率も高い分散型電源です。

災害に強いといわれている中圧ガス導管を使用したガスの供給で安定的な稼働が可能です。また、この燃料電池を市場で使用すると、系統電力から電気を購入する場合に比べ、年間で約30%のCO2排出量が削減できます。

商用として出力1200kWとなる1MWクラスの燃料電池が導入されるのは国内初です。この試みは、全国の中央卸売市場へ向けた先進的なモデルケースとして、CO2削減効果や電力供給の安定性や信頼性について実証を行い、その導入効果を情報発信していく役割も担っています。

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北海道で補助事業、風力で環境負担ゼロの水素エネルギーを

北海道の苫前町では、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助の元、風力発電所を用いた新たな燃料活用事業を2017年度までの完成を目指し、推し進めることを発表しました。

国は将来的に水素をメイン燃料とする構想を打ち出していますが、苫前町のこうした施策は国の方針と一致するもので、町の経営する温泉施設の燃料に、町営の風力発電所で生成した水素を利用しようというものです。この動きに対し、同じく北海道を拠点とする札幌のフレインエナジーや神戸の川崎重工業、名古屋の豊田通商などが既に賛同を表明し、それぞれの持つ水素や電気に関する技術による、風力を基にした新たなエネルギー変換技術の取り組みに期待が持たれています。

作られた水素は液状の有機ハイドライドに変換された後、再び気体に戻され、最終的に燃料電池の燃料となります。

苫前町の所有する苫前夕陽ケ丘風力発電所は、計3基で出力合計2200kWとなっており、実験はこの敷地内で行う予定で、実用的なものとしては北海道では初の試みです。

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JX日鉱日石エネルギー、八王子に水素ステーション建設

東京都八王子市に、同社としては東京都初のJX日鉱日石エネルギーによる水素ステーション「八王子高倉水素ステーション」を開所したと5日発表しました。

この水素ステーションはJX日鉱日石エネルギーの子会社ENEOS水素サプライ&サービスが運営する1号店となり、水素トレーラーなどを輸送に利用して圧縮水素を供給する仕組みになっています。1時間当たりの充填はおよそ5台~6台で、充填にかかる時間は1台につき約3分。

同社は2015年度の上旬に開所する予定の商用水素ステーションが他にも9か所あり、さらに時期は未定としながらも計画中のものが2つと、2015年中には13つの水素ステーションの稼働が実現されることになりそうです。

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西部ガスが福岡県に水素ステーションを開発

西部ガスでは、都市ガスから製造した水素を燃料電池などに共有する「水素ステーション」の建設をすることになりました。

水素ステーションは、九州で初めての水素の製造・貯蓄・販売を1カ所で引き受ける施設となります。場所は福岡県の福北工場。ここでは液化天然ガスから、都市ガスを製造していますが、今後は新設の「ひびきLNG基地」に集約するために同地は27年度中に閉鎖することになっていました。
閉鎖される福北工場跡地は、立地条件も良く、また有効活用にということで、水素ステーションの建設場所として決定したそうです。

水素と酸素からの燃料電池は、市場で拡大してきていると共に、開発も進んできて、現在では全国で4カ所の商用ステーションが稼動しています。経済産業省資源エネルギー庁は、全国100カ所に設備計画を立てていて、今のところ具体化している建設場所は45カ所です。

総事業費約6億円のうち、経済産業省から2億8,000円程度の補助を受けて行われます。

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東芝、水素による電力貯蔵を2020年実用化に目途、コストは蓄電池の半分

2014年12月に世界で初めてFCV(燃料電池自動車)を発売したトヨタをはじめとし、水素を用いた電力保存の方法が各社で模索されています。

東芝によると、水素を使った電力貯蔵技術に関して2020年にも実用化ができる見込みを発表。
それによると、蓄電池を使った電力貯蔵に比べて設置・運用費用が半分で済むのだそう。また蓄電池よりも長期の電力保存が可能というころで、再エネ設備の出力吸収の一つの打開策として強力視されます。

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オリンピック村で大規模な水素エネルギーを導入

東京都は2020年の東京五輪の選手村を、水素エネルギーで電力などを賄う「水素タウン」として整備することを決定しました。

水素ステーションを設置してそこから、宿泊棟に電力や温水を供給して、五輪の後はエリア内の施設への供給を目指します。過去に例を見ない大規模な実験で、水素社会の実現に弾みをつけたいと考えているのだそう。

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トヨタ、再エネの余剰や下水エネルギーを利用したCO2フリーの水素生成を検証

トヨタ自動車グループは、二酸化炭素を出すことなく、再生可能エネルギーから水素を産み出す検討を始めました。再生可能エネルギーに強みを持つグループ会社の豊田通商が中心となり、燃料電池車の普及期となる2020年代の実現を目指しています。

このような検討に至ったのは、CO2フリーの社会を目指し、地球規模の環境問題を解決するためです。燃料電池車は、二酸化炭素を直接出すことはありませんが、水素を製造する際に、ガソリン車並みの二酸化炭素が排出されてきました。そこで、豊富な水と自然なエネルギーを使うことによって、資源の枯渇を防ぎます。

しかし、水を電気分解するためには、大規模な施設が必要で、また大量の電力が必要となり、電力コストが低くないと採算に合うか厳しいという問題もあります。

豊田通商は子会社に風力発電大手のユーラスエナジーを持ち、固定価格買取制度後は太陽光発電所の建設でも存在感を出していましたが、これらの売電事業の先の一つに水素ステーションインフラ構築があるとは。
よくよく考えてみれば当たり前ですが、大企業ってすごいですね^^

ユーラスエナジーは系統容量が今ほど圧迫される以前から太陽光発電の開発を行っていましたが、そもそもメガソーラーのような大規模な案件を多く手掛けていることもあり、もともと出力抑制の可能性は想定内でした。
この、抑制されて売電できない発電分(余剰分)をうまく利用して水素生成を行えないか、という検証を今後行っていく予定です。

このほかにも福岡市では下水処理場の処理過程で出るメタンガスから水素を取り出す実証実験を九州大などと始めるそう。