新電力のイーレックス、米スパークエナジー、および東芝と業務提携

新電力としてシェアを伸ばすイーレックスが、小売自由化に向けて米スパークエナジーと合弁会社「イーレックス・スパーク・マーケティング社」を設立すると発表しました。(出資比率、イーレックス80%、スパーク完全子会社20%)

イーレックスは東芝と、電力小売全面自由化に対応した顧客管理や料金計算のためのシステム「Peaceplus」を共同構築することも発表しています。


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新電力の洸陽電機、長崎県の小浜温泉で温泉発電による町おこしに着手

長崎県の小浜温泉では2011〜2013年の3年間で温泉水を利用した再エネ発電であるバイナリー発電の商用化を目指し実証実験を行っていました。その際「湯の花」と呼ばれる温泉成分の沈殿物による配管メンテナンスなど多くの課題が残されていたこの発電施設を、新電力洸陽電機が2014年9月に買い取り、温泉発電の実績を生かして1年をかけて設備を改修し、ようやく売電までこぎつけました。

72kW×3基の発電設備では発電システムの内部で消費される電力や、メンテナンスのために稼働を止める時間を差し引いた実質的な発電量で年間79万kWhを得られる計算でだということ。設備利用率にして42%に相当します。ただ温泉の湧水量は一定でないため想定を下回ることもあるのだそう。

この温泉発電で作られた電力は洸陽電機が設立した特定目的会社の「第1小浜バイナリ発電所」が固定価格買取制度を利用して1kWh40円で親会社洸陽電機に販売されます。

温泉発電の商用化の先には温泉街の町おこしモデル構築を目指しており、発電後、100度相当の源泉から70度程度まで温度が下がる温泉水は、旅館で2次利用、さらには温室ハウスで3次利用といった利用方法を考えているということです。


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日立造船、事業所および工場の電力を自社調達に切り替え

新電力の設立を発表していた日立造船は、自社の事業所および工場において電力を自社調達に切り替えると発表しました。

関西電力との契約を引き払い、自社調達を始めることになったのは大阪の本社ビルおよびグループ会社が入居するビル、そして築港工場内の生産棟と技術研究所の4施設で、ピーク電力4000kWに相当する電気料金は数%の削減が見込まれるといいます。
日立造船は他の事業所でも順次自社調達に切り替える方針を明らかにしています。

日本造船も含め、新電力として電力を需要家に販売する場合、自社の発電設備で足りない分を卸電力市場などから購入して販売する方法をとりますが、「調達した電力単価との差が大きい需要家」=「もともと比較的高い単価で電力を購入していた需要家」=「負荷率の低い需要家」を優先的に顧客とすることで収益向上に努めます。

消費地である自社工場が年中均質的に稼働を行う(=負荷率が高い)ような種類であれば、例え自社で新電力事業を行っていようと、収益につなげるのは難しいと言えます。

今回の日立造船の場合、自社工場が産業用機械や発電プラントなどを作る設備であるため稼働率の変動が大きくなります。このように電力を利用する日時と使わない日時の差が激しい(=負荷率が低い)需要家は新電力に切り替えることのメリットが大きくなります。

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三菱電機はエフパワーと共同で地域PPSの運営支援

東芝の新電力参入発表が記憶に新しい中、家電メーカーや太陽光発電メーカーなどが新電力(PPS)事業に参入するケースは珍しくない昨今ですが、大手家電メーカーで太陽光発電システムメーカーとしても実績の高い三菱電機は電力の販売に関してはより間接的な支援に徹する意向のようです。(あくまで現時点での話ではありますが)

三菱電機がスマートコミュニティーの事業戦略として掲げるのは地元のPPSを主体とした地産地消モデルの構築で、新電力のF-Power(エフパワー)との連携で実現を計画しています。

具体的には、実際の事業主体を地域PPSとし、電力の販売も地域の需要家を中心としたものにすることでエネルギーの地産地消を図りますが、新電力の運営に際して不可欠でありながら実際は自前で行うにはハードルが高い電力需給の管理システムの構築を、三菱電機のクラウドシステムの提供で支援、さらに地域電源で足りない電力は、新電力シェア2位であるエフパワーの電源から調達できる形で支援を行うとしています。

先駆けとして秋田県鹿角市と北海道士幌町の2地域で上述のモデルを実践する計画だということです。

地域のスマートコミュニティ構築というと、大手家電メーカーによる市街の総プロデュースといった事例も目立つものの、三菱電機のより地に足のついたビジネスモデルが地域の活性化に与える影響は少なくなさそうです。

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日立造船、がPPS向けにLNG(天然ガス)火力発電所を建設

日立造船は、関東地域において新たに新電力(PPS)への電力販売を目的としたLNG火力発電所の開発を行う意向を明かしました。

具体的な候補地および規模は検討段階ということで、3〜4年の稼働後の電力供給先候補となる大手新電力各社には合弁などの可能性も含め交渉を本格化させる予定だということです。

出力は100,000kW(100MW)級の設備を検討しています。現在PPS用に運用する発電所の設備12基の合計容量をも超える本発電所の稼働により、売上高は現在の4割増を見込んでいるといいます。


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東芝が新電力に参入、太陽光や省エネ機器とのセット販売を含めた「エネルギーサービス事業」を推進

米サンパワーの世界最高効率ソーラーパネルを日本市場において独占OEM販売しながら住宅用太陽光発電市場で急速にシェアを伸ばしてきた東芝新電力に登録。太陽光発電の設置者などからFITにプラス価格で電力を買い取る事業を一つの軸としながら「エネルギーサービス事業」として、太陽光発電システムと省エネ機器も合わせて販売する方向を明らかにしました。

新電力事業においては他の電力事業者と同様、御電力取引所(JEPX)などからも電力を調達しながら最適な電源構成において電源単価の低下に努めるとしています。


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東北電力管轄内で新電力の割合3.3%に

東北電力から新電力と呼ばれる特定規模電気事業者に乗り換える東北地方の企業や自治体は、2014年度に前年度より6割以上増え、2,883件を突破しました。このうち、自由化対象の顧客全体に対する累計の割合は3.3%となっています。

契約電力50kW以上の事業者に対して、電力会社を自由に選べるようになった2005年度以降、2010年度では1,000件以上、電気料金値上げを実施した2013年9月から乗り換える企業が増えています。東北電力の関係者は、「新電力の発電設備増強や、自治体の電力入札導入の広がりが他行者乗り換えを招いたとした上で、安定供給の他、市場動向を踏まえた新サービスや料金形態、省エネ相談といった取り組みを通じて顧客に選ばれる企業にしたい」と説明しました。

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J:COM、住商の新電力サミットエナジーと電力販売

東京都千代田区に本社を構え、J:COMを運営するジュピターテレコムと、東京都中央区に本社があり、住友商事グループの国内電力事業会社、サミットエナジーは2015年4月7日、電力小売全面自由化が行われる2016年4月を目途に、J:COMが提供する放送及び通信サービスとのセット加入により、家庭の電力料金を削減するサービス「J:COM電力」の提供を、同社のサービスエリア内のマンションの他、一戸建てと小規模集合住宅に拡大すると発表しました。

国内2箇所の47MW出力の風力発電所と、3箇所の115MW出力の火力発電所を所有するサミットエナジーは契約対象となる約1,900万世帯にサービスエリアを展開、札幌から九州までの契約世帯505万件にケーブルテレビ、高速インターネット、電話といったサービスを提供するJ:COMに対し電力調達と需給調整を行うことで、放送と通信サービスのセット契約と同時に、従来の電力会社よりも割安の料金体系での提供を目指しています。

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新電力会社「王子・伊藤忠エネクス電力販売(OJEX)」が始動、まずは北海道で

伊藤忠エネクスと王子グリーンリソース両新電力が4月1日から王子・伊藤忠エネクス電力販売(OJEX)として事業を開始することを発表しました。なお王子電力リソースの電力販売機能を新会社に移管して、まず北海道エリアを中心に法人向け事業を展開する予定です。

また幅広い客層を対象とした事業に向けて、伊藤忠エネクスの販売機能も存続しながら棲み分けして小売前面自由化に備える方針です。

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オリックスがサービスエリア拡大、東北電力エリアの7県で営業開始

オリックス株式会社は電気小売事業のサービス対象エリアを拡大し、4月1日より東北電力の送電エリアである、青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県、新潟県の7県での営業を開始します。

2009年より新電力として電気の小売事業を開始したオリックスは、東京電力、関西電力管内での営業を始めとして、2010年には中国電力管内、2014年には中部電力管内での営業も開始するなど、サービスエリアを徐々に拡大しています。

また、電気小売サービスの他にも電力使用に関するサービスを行っており、蓄電システムのレンタルサービスや、省エネルギー化を支援するサービスなど、顧客のニーズに合わせた様々なサービスを展開しています。

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